夜更けの思索者

土地家屋調査士・行政書士・CALS/EC RCI 橋本伸治のブログです。仕事に関する記事や日頃感じているエッセイなど熟々と書き綴っています。

Category: 法曹

「原子力損害賠償法」、正確には「原子力損害の賠償に関する法律」という法律をご存じだろうか?
電気事業連合会のHPでは、次のように説明している。

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原子力発電、原子燃料製造、再処理など原子力施設の運転中に発生した事故により原子力損害を受けた被害者を救済するため、1961年に原子力損害賠償法(原賠法)が定められています。原子力損害賠償法では以下のことが定められています。

原子力事業者に無過失・無限の賠償責任を課すとともに、その責任を原子力事業者とする。
賠償責任の履行を迅速かつ確実にするため、原子力事業者に対して原子力損害賠償責任保険への加入等の損害賠償措置を講じることを義務付ける。(賠償措置額は原子炉の運転等の種類により異なりますが、通常の商業規模の原子炉の場合の賠償措置額は現在1200億円)
賠償措置額を超える原子力損害が発生した場合に、国が原子力事業者に必要な援助を行うことを可能とすることにより被害者救済に遺漏がないよう措置する。

原子力損害賠償制度 原子力災害は、天災や社会的動乱の場合を除いて、原子力事業者に損害賠償の責任があります。電力会社は「原子力損害賠償責任保険」を保険会社と結び、また、国と「原子力損害賠償補償契約」を結ぶことになっています。事業者の責任が免ぜられた損害や保険限度額を超えた場合は、国が被害者の保護のために必要な措置をとることになっており、事業者と国が一体となって原子力損害の填補を行うようになっています。

賠償措置額については、2009年(平成21年)の原賠法の改正により、現在1サイトあたり最高1200億円となり、適用期間が10年間(2019年末まで)に延長されました。
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条文を当たってみた。

(損害賠償措置の内容)
第七条  損害賠償措置は、次条の規定の適用がある場合を除き、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結若しくは供託であつて、その措置により、一工場若しくは一事業所当たり若しくは一原子力船当たり千二百億円(政令で定める原子炉の運転等については、千二百億円以内で政令で定める金額とする。以下「賠償措置額」という。)を原子力損害の賠償に充てることができるものとして文部科学大臣の承認を受けたもの又はこれらに相当する措置であつて文部科学大臣の承認を受けたものとする。

今回の東電の賠償責任上限額が、1サイト1200億円とすると、4サイトで4800億円になるのであろうか?
全体の被害実額は判然としないが、軽くこれを超える数字であろう。
となると、大半を税金で賄うことになる。

東電社長は、雲隠れと言われてもやむを得ない「入院」ですか??
国・東電・原子力安全委員会・有識者が一体となって、この国難を乗り越えなくてはならないのに・・・

菅総理のリーダーシップには期待はずれ、もし小泉さんが首相であったなら、批判を覚悟で率先して陣頭指揮を執っていたと想像するけど、今はあのような強烈なリーダーが求められているのではないだろうか。

2009年4月23日の東京高裁判決は「一般に建築設計契約は、設計図書の作成および引き渡しを目的とする請負契約と解される」という判断を示した。その後最高裁に上告されたが、9月3日却下されて判決は確定した、と言うものである。

建築設計業界では従来建築設計契約は準委任契約と解してきたようである。
しかし、この判決のように設計契約が請負契約となると、原則として、成果物である設計図が完成して初めて設計報酬が支払われることになり、さらに、その設計図に瑕疵があれば、設計者に故意や過失がなくても設計責任が生じることになる、と言う。
裁判ではこの設計図に瑕疵があるか否かが争われたようだ。
つまり、基本設計の後、実施設計に基づいて見積もられた工事金額が予定工事金額を大幅に上回り、工事自体が事実上困難となり、実施設計の債務不履行責任が問われたと言うものである。

我々調査士業界でもこの種の似たような議論は前々からあった。
しかし、今や、測量業務に関しては請負契約、登記申請業務に関しては準委任契約と解するのが現在の大方の趨勢であろうが、設計業界のように一律に請負契約と断ぜられると、逃げ場が無くなるのであろう。

当然の事ながら請負契約となるとその業務が完成するまで請負人の義務が続くことになり、完成まで報酬も請求できなくなる。
もしも登記申請業務を請負契約と解されたならば、例えば、測量→境界立会・確認→分筆・地積更正登記申請→登記完了、というフローで、境界確認が完遂されなかった場合、債務不履行責任を問われることになるわけだ。
これはたまったものではない。たまたま依頼人が隣地とケンカしている現場であったら、受託そのものを拒否せざるを得なくなる・・・
と、いろいろ不都合が生じてくるわけであるが・・・・

この高裁判決、建築業界にどのような波紋を広げるのやら・・・


しかし・・・
もっと恐ろしい事実をつい最近知った。

実は土木工事業界では、基本設計図は単なる積算用のものであって、実際の現場施工では全く使い物にならないため、基本設計図とは別に現場サイドで施工図が勝手に作られ、これに基づいて施工される事が多いという。
これが真実であれば、いやはや呆れた話である。
発注者がその施工図を了解しているならば問題は追完されるであろうが、それが全く示されずに施工されたとしたら、なにがしかの欠陥が発覚した場合、施工サイドはどう責任を取るつもりなのであろう?
発注者・設計者・施工者3者が共通して同じ設計図を認識していなければ、とんでもない事故を招くのは必然であろう。
現場側のエゴの何物でもない。いや、設計サイドのエゴも多分にあるのであろう。

私たちの業界も、李下に冠を正さず、常に誠意ある対応を心掛けたいものである。

法曹の世界にも「司法官僚」という言葉があった。。。

馬場健一教授(神戸大学大学院法学研究科)は、違憲判決を書いた裁判官らの処遇を調査したところ、左遷されるなど判決の前と後で処遇が明らかに変わっていると述べているとのこと。
それもこれも、後に最高裁長官となる人の大半が最高裁事務総局の各局に「局付」として任用され、その後、最高裁事務総局の主要な課長ポストを経験し、地裁所長、高裁長官として現場の司法行政に携わり、違憲判決を書いた裁判官を左遷させているのだという。
この意味で、最高裁事務総局はエリート職業裁判官であるということは言うにおよばず、司法官僚にほかならないと分析している(「司法官僚 裁判所の権力者たち」岩波新書2009)。(以上は田中早苗弁護士談から抜粋)。

いやはや・・・裁判官の独立性どころではない、とんでもない弊害であろう。
結局過去に違憲と断じた最高裁裁判官のほとんどが人事にあまり影響されない弁護士出身だったというのも頷ける。
しかし、その弊害に真っ向から立ち向かい、違憲判決を書くことに臆しない生粋の裁判官が出てきているという。
憲法の理念上は至極当たり前のことなのだが、それがようやく日の目を浴び始めたと言うことか?
その原因の一つが、「一人一票実現国民会議」による最高裁判事国民審査での不信任キャンペーンだというのだから、何とも皮肉な話ではある・・・
日本の司法制度がそれだけ立ち遅れていたという証になってしまった訳だね。

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