ビジネス雑誌を読んでいると、最近特に立命館アジア太平洋大学の記事を目にする機会が多い。2000年に大分県別府市に設立された私立大学である(略称APU)。
開学宣言に次の文章が記されている。
我々は、21世紀の来るべき地球社会を展望する時、アジア太平洋地域の平和的で持続可能な発展と、人間と自然、多様な文化の共生が不可欠であると認識する。この認識に立ち、我々は、いまここにアジア太平洋の未来創造に貢献する有為の人材の養成と新たな学問の創造のために立命館アジア太平洋大学を設立する。」

何故ビジネスの世界でAPUが話題になっているのだろうか?調べてみた。
学生の半分は外国人であり、教員の半数も外国籍だという。授業は英語と日本語による二言語教育方針が採用されており、また国の研究支援事業とも連携し、社会人の受講生も受け入れているので、企業から社員を受講生として派遣するケースが多いようだ。留学・逆インターン制度としてのニーズが高いようなのだ。

外国人学生の受け入れ率では日本一だという。
日本人学生にとって国際感覚を養うには最適の環境であろう。社会人学生にとっても然りである。
毎年発表される世界の大学ランキングでは、東大・京大は下位に甘んじている(2020年は東大36位、京大65位)が、その低迷要因の一つに外国人学生の受け入れ率・教授陣の外国籍率が影響している。他にも様々な要因はあるが今は省略する。

私は何も立命館大学の出身者でも無いし、家族に関係者がいる訳でもない。しかし今APUはビジネス社会から熱い視線を浴びている現実がある。
そもそも立命という言葉にも深い意味がある。おそらく元は「安心立命」が出典だろう。

つい最近APU学長の講義を拝聴した。元生保会社社長という特異な経歴の出口治明氏である。今CMでも有名なライフネット生命保険の出身だ。当然健康に関してはプロとしての知識があり、かつ歴史についても造詣が深い。歴史好き人間としては、そこにも興味を覚えた。
何故保険の人間が教育界に身を投じたのか?はたまたAPUの世界戦略はなんであるのか?おそらく旧帝大では発想され得ない新たなイノベーションを引き起こすのか?大変興味があるところだ。子供にも、狙うならAPUと言う時代が来るかもしれない。

日本は未だ未だグローバリゼーションが徹底されていない。そもそも英語教育が根本から間違っているのでやむを得ない結果であろう。日本の世界的評価はどんどん落ちている。共通言語が足りていないのは当然として、真の世界人になり得ていない。島国根性が原因だと言ってしまうのは簡単だが、イギリスが覇権国になった歴史と整合がつかない。

その欠点を補完し、世界に通用する日本人を鍛え上げる事がAPUの世界戦略なのかも知れない。そこにビジネス界が注目しているのかもしれない。

ビジネス、特に経営者の世界では、誰しもがMBAの資格を有し、世界共通言語を使いこなし、ガラパゴス化していない思考力を有する、昔風で言うところのcosmopolitanたる日本人が今改めて求められている。