日本人は議論することに対してマイナスの感情を持ちやすい民族と言われている。確かに、聖徳太子(厩戸皇子)の十七条憲法において「和を以て貴しと為す」と定められてより、相手と論争するのでは無く、周囲と和を乱すこと無く団結する人間関係を築くことに腐心してきたのも事実であろう。(これには実は解釈の誤解が含まれているが・・・)
昔若かりし時にディベートに触れる機会がよくあった。
世間的にディベートと聞くと、まくしたてる弁論で相手を論破することが目的のようなマイナスの印象を与えてしまうかもしれないが、れっきとした伝統的思考法の一つである。
一般的には、競技として一種ゲーム感覚で行うこともあるが、企業においては社内研修の一環としてディベートを採用することもある。この場合は「研修ディベート」と呼ばれる。社員の能力開発を目的としたり、企業が抱える課題に対する解決策を立案する場合だったり、新商品や新サービスを開発する際に全社的に議論をしたりと、問題解決手法として高く評価されている。
ディベートの構造は簡単に言えば下記のようになる。
まず前提段階として、議論すべき命題(論題)を設定し、ルールを確認する。
↓
肯定側と否定側のチーム(各3~5名程度)及び審判団を編成する。
↓
肯定チームは、論題に関する知識修得のための資料を徹底的に収集し、作戦会議を開き肯定を是とする立論を策定する。
↓
否定チームは、肯定チームが立論してくるであろう論点を予測し、これを批判できる資料収集を行い、作戦会議を開き、否定を是とする立論を策定する。
↓
ディベートの開始:
まず肯定チームから立論(肯定を是とする主張)を行う。
↓
否定チームが反対尋問(質問のみ)を行う。
↓
否定チームが立論(否定を是とする主張)を行う。
↓
肯定チームが反対尋問を行う。
↓
否定チームが反駁(相手主張の欠陥を指摘し説明を求める)を行う。
↓
肯定チームが反駁を行う。
↓
否定チームが第二反駁(相手反駁に対する反論)を行う。
↓
肯定チームが第二反駁を行う。
↓
審判団が理由を述べて勝敗を判定する。
ざっとこんな感じで、テーマにもよるが1時間から長くても2時間程度でディベートを終了させる。それぞれのチーム内で立論・反対尋問・反駁(第一・第二・・・)を受け持つ人は必ず別人を当てる。基本的にディベート中はチーム内で作成会議を行う余裕はほぼ与えられないので、事前の作戦会議において、自分達の主張にどこまで説得力有る論理・立証材料を用意できるか、相手チームがどのような立論を立ててくるかを予測・仮定できるか、反論(反駁)できる材料をどこまで用意できるか、自分たちの立証に対する反駁にどこまで説得力有る反論をできるか、などをどこまで準備する事ができるかでほぼ勝敗が決すると言える。もちろんディベート中の瞬発的な論理修正能力も必要である。
要は、ある命題に対して、肯定・否定をいかにロジカルに説明できるかが鍵となる。また判定する審判団はこれらを十分理解したうえで何方がより論理的な説得力があったかを見極める力を必要とされるので、通常、肯定チーム・否定チーム・審判団を順番に入れ替えて、全員が全てのパートを受け持つようにする。これによって思考がより一層深掘りされ、論理が独善的に陥ることが無くなり、より客観的に命題に対する解決策の本質を見定めることが出来るようになる。
入門編としてYoutubeで学生によるディベートの模様が公開されているので、興味があったら覗いてみてはどうだろうか。
「論題 日本は首相公選制を導入すべきである 是か非か」
https://www.youtube.com/watch?v=6CEAzMpOSwM&t=1168s
また、ディベートの基礎について、英語教育で有名な松本茂先生の講義も大変有意義で面白い
https://www.youtube.com/watch?v=3kbO1A73I7s
ビジネスの世界では、このディベートの手法が様々な局面で応用されている。身近なところでは裁判における弁論がまさにディベートの応用であろう。原告側・被告側はそれぞれ主張立証・反対尋問を行うことによって相手の立論の穴を指摘し、裁判官(審判団)に対して自分たちの主張を受け入れるよう説得する訳である。
また、ちょうど今アメリカでは大統領選で候補者が火花を散らしているが、候補者の討論会では、横断幕にどうどうと候補者ディベートと明記されている。共和党候補のトランプ氏と民主党候補のバイデン氏の討論会はまさに絶好のディベートであり見物であろう。ただトランプ氏の立論には感情論が多分に含まれることがあり、ディベートとしての質は低いように感じる。
このディベートをチーム戦ではなく、肯定・否定両チームを自分一人でやろうというのが「一人ディベート」である。これは命題に対して常に自己を客観化する力量が求められ、更に思考を一人で深掘りすることが出来る。思考力を一気に高いレベルまで持って行くことができるのでお薦めである。ただ立論に穴が空きやすいのも事実であるので、誰か第三者に審判をしてもらうと更に効果的であろう。
私も議論を深掘りさせるときは、一人ディベートを行うようにしている。立論に際しては、コンサルタントがよく使うビジネスフレームワークの手法を利用する。これについては機会があるときご紹介したい。
皆さんも一人ディベートを行い、思考の深掘りを極めては如何だろうか?
昔若かりし時にディベートに触れる機会がよくあった。
世間的にディベートと聞くと、まくしたてる弁論で相手を論破することが目的のようなマイナスの印象を与えてしまうかもしれないが、れっきとした伝統的思考法の一つである。
一般的には、競技として一種ゲーム感覚で行うこともあるが、企業においては社内研修の一環としてディベートを採用することもある。この場合は「研修ディベート」と呼ばれる。社員の能力開発を目的としたり、企業が抱える課題に対する解決策を立案する場合だったり、新商品や新サービスを開発する際に全社的に議論をしたりと、問題解決手法として高く評価されている。
ディベートの構造は簡単に言えば下記のようになる。
まず前提段階として、議論すべき命題(論題)を設定し、ルールを確認する。
↓
肯定側と否定側のチーム(各3~5名程度)及び審判団を編成する。
↓
肯定チームは、論題に関する知識修得のための資料を徹底的に収集し、作戦会議を開き肯定を是とする立論を策定する。
↓
否定チームは、肯定チームが立論してくるであろう論点を予測し、これを批判できる資料収集を行い、作戦会議を開き、否定を是とする立論を策定する。
↓
ディベートの開始:
まず肯定チームから立論(肯定を是とする主張)を行う。
↓
否定チームが反対尋問(質問のみ)を行う。
↓
否定チームが立論(否定を是とする主張)を行う。
↓
肯定チームが反対尋問を行う。
↓
否定チームが反駁(相手主張の欠陥を指摘し説明を求める)を行う。
↓
肯定チームが反駁を行う。
↓
否定チームが第二反駁(相手反駁に対する反論)を行う。
↓
肯定チームが第二反駁を行う。
↓
審判団が理由を述べて勝敗を判定する。
ざっとこんな感じで、テーマにもよるが1時間から長くても2時間程度でディベートを終了させる。それぞれのチーム内で立論・反対尋問・反駁(第一・第二・・・)を受け持つ人は必ず別人を当てる。基本的にディベート中はチーム内で作成会議を行う余裕はほぼ与えられないので、事前の作戦会議において、自分達の主張にどこまで説得力有る論理・立証材料を用意できるか、相手チームがどのような立論を立ててくるかを予測・仮定できるか、反論(反駁)できる材料をどこまで用意できるか、自分たちの立証に対する反駁にどこまで説得力有る反論をできるか、などをどこまで準備する事ができるかでほぼ勝敗が決すると言える。もちろんディベート中の瞬発的な論理修正能力も必要である。
要は、ある命題に対して、肯定・否定をいかにロジカルに説明できるかが鍵となる。また判定する審判団はこれらを十分理解したうえで何方がより論理的な説得力があったかを見極める力を必要とされるので、通常、肯定チーム・否定チーム・審判団を順番に入れ替えて、全員が全てのパートを受け持つようにする。これによって思考がより一層深掘りされ、論理が独善的に陥ることが無くなり、より客観的に命題に対する解決策の本質を見定めることが出来るようになる。
入門編としてYoutubeで学生によるディベートの模様が公開されているので、興味があったら覗いてみてはどうだろうか。
「論題 日本は首相公選制を導入すべきである 是か非か」
https://www.youtube.com/watch?v=6CEAzMpOSwM&t=1168s
また、ディベートの基礎について、英語教育で有名な松本茂先生の講義も大変有意義で面白い
https://www.youtube.com/watch?v=3kbO1A73I7s
ビジネスの世界では、このディベートの手法が様々な局面で応用されている。身近なところでは裁判における弁論がまさにディベートの応用であろう。原告側・被告側はそれぞれ主張立証・反対尋問を行うことによって相手の立論の穴を指摘し、裁判官(審判団)に対して自分たちの主張を受け入れるよう説得する訳である。
また、ちょうど今アメリカでは大統領選で候補者が火花を散らしているが、候補者の討論会では、横断幕にどうどうと候補者ディベートと明記されている。共和党候補のトランプ氏と民主党候補のバイデン氏の討論会はまさに絶好のディベートであり見物であろう。ただトランプ氏の立論には感情論が多分に含まれることがあり、ディベートとしての質は低いように感じる。
このディベートをチーム戦ではなく、肯定・否定両チームを自分一人でやろうというのが「一人ディベート」である。これは命題に対して常に自己を客観化する力量が求められ、更に思考を一人で深掘りすることが出来る。思考力を一気に高いレベルまで持って行くことができるのでお薦めである。ただ立論に穴が空きやすいのも事実であるので、誰か第三者に審判をしてもらうと更に効果的であろう。
私も議論を深掘りさせるときは、一人ディベートを行うようにしている。立論に際しては、コンサルタントがよく使うビジネスフレームワークの手法を利用する。これについては機会があるときご紹介したい。
皆さんも一人ディベートを行い、思考の深掘りを極めては如何だろうか?
コメント