夜更けの思索者

土地家屋調査士・行政書士・CALS/EC RCI 橋本伸治のブログです。仕事に関する記事や日頃感じているエッセイなど熟々と書き綴っています。

2020年09月

土地家屋調査士制度制定70周年記念事業の一環として、登記制度創造プロジェクト事業である足利学校VR動画事業・建物表題登記事業の観測作業を、昨日、実行委員・サポーター8名の精鋭なる会員の皆様のご協力により行いました。
VR動画事業に関しては、連合会と提携しているライカジオシステムズ社様及び協力会社である神戸清光システムインスツルメント様から、3Dレーザースキャナー7台を無償貸与していただき、観測協力(観測指導)をいただきました。ドローンは高橋会員から提供していただきました。

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連合会からも山田広報部長に視察に来ていただきました。
京都からはるばる栃木までおいでいただき、大変有難うございました。

現在の不動産登記制度は必ずしも完全とは言い得ません。相変わらずの二次元の世界であり、世界の潮流から見ると明らかに立ち後れています。
未来に向かって登記制度のあるべき姿・土地家屋調査士から発信する将来ビジョンとして、VRによる座標管理・また建物図面の3D化(X・Y・Z)(いずれも世界測地系座標で管理)を目指しています。
この成果は、足利学校へ無償提供し、足利市の観光事業として利活用していただいたり、首里城やパリ・ノートルダム大聖堂の火災焼失における復元作業に効果を発揮します。また子供達への教育教材として利活用したりと、その価値は高く、いくらでも広がりを持つ可能性を秘めています。

成果が整いましたら、いずれ近いうちに3Dレーザースキャナーに関する会員研修会を企画したいと思っています。その際には足利学校事業のご報告もしたいと考えています。

因みに、ライカ社のLHI事業推進部のLHIとは我々土地家屋調査士のことです。
Land & House Investigator の略称です。ライカ社の調査士業界への期待度の高さが覗えますね。

また、本日の観測作業に関して、下野新聞社・NHKの取材を受けました。
記者の方々へは、土地家屋調査士制度のPRを行うと共に、未来の不動産登記制度を創造する本事業の意義を話しました。この結果が、少しでも皆様の業務にお役に立てれば幸いです。

最後に、本日観測作業に携わっていただいた全ての皆様へ、心から御礼申し上げます。

私もご多分に洩れず歴史が大好きである。
イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏が上梓し世界の耳目を集めた「サピエンス全史」で言う認知革命以降、歴史とは人類の営みの集大成、挫折と失敗の履歴書であり、壮大なる教訓書・学びのライブラリである。
あらゆる学問の出発点は全て歴史に依拠すると言っても良い。だが、無条件にそれを真実と捉えることには慎重であらねばならない。歴史書は時の為政者によって都合良く書き換えられるからだ。また、時代時代によって起こった出来事の評価は常に背反性を持っているからだ。併せて、日本史は決して世界史と切り離して思索してはならない。世界の中の日本という立ち位置を常に意識して学ばなくてはならない。

まぁ、歴史を学ぶ者にとっては、当たり前の心得である。「歴史は繰り返される」という教訓には、人類の学びが未だ如何に浅薄であるかを天が教えている。人間の心の奥底に存在する正の想念と負の想念、この対立する概念のいずれかを完全に封じ込めることは出来ない。正義と思われる物が時代によっては不義であり、またその逆も然りである。それに気がつかなければならないのだという真理を、歴史は何千年という時間をかけて人類に語りかけている。
私は歴史を学ぶとき、いつもそう感じる。

さて、
幕末期の歴史上の人物で好きな人は?と聞かれた時、多くの人は、吉田松陰であり、坂本龍馬であり、島津斉彬であり、西郷隆盛であり、松平春嶽であり、近藤勇であり、山岡鉄舟である、などと答えるかもしれない。
彼らが魅力的な人物である事に疑いの余地はない。
西郷隆盛は私が最も尊敬している人物の一人である。彼の存在が間違いなくあの時代を動かした。
しかし、なんと言っても私は圧倒的に勝海舟の熱狂的ファンである。意固地なまでの信奉者だ。さながら江戸城無血開城の対決のようだが。

初めて勝海舟を知ったのは、小学生の頃NHKで勝海舟を主人公にした大河ドラマを観た時だった。祖父が歴史大好き人間だったので、祖父と一緒によく時代劇物などを観ていた。大江戸捜査網などが懐かしい。知ってる人は最近少なくなったようだが...
大河ドラマの「勝海舟」は、確か、最初の主役が先頃惜しまれて他会された渡哲也だったのが、病気のため松方弘樹に交代したはずだ。多分大河ドラマで途中の主役交代はこれが最初で最後では無いか?
どちらも日本を代表する名優であったが、両名とも既に故人となっているのがなんとも淋しい限りである。
特に松方が演じる勝海舟は私を一遍に虜にしてしまった。当然フィクションも含まれていたのだろうが、未だ幼かった私はその番組内での松方「海舟」像に、惚れ込んでしまった。
この大河ドラマの原作となった子母沢寛の名著をずっと探し求めていたが、なかなか手に入らず、それまでは「氷川清話」や「海舟座談」その他の関連書物を読んでいたのだが、先日古本屋で、子母沢寛の勝海舟全集、しかも箱入りハードカバー版を運良く購入することができて、今とても嬉しい気分なのである。しかも一冊¥250という格安。反面で勝の人気が無いのかと寂しい気持ちもあるが、やっと手に入った!という気持ちが完全に勝っている。

もしあの時代に勝海舟がいなければ、大政奉還は無かったかもしれない。明治維新はもっと遅れていたかもしれない。勝は既に遠い百年後の未来の日本を見据えていた。彼は幕臣でありながら、徳川幕府などみみっちい組織は吹っ飛んでしまえ、今の日本に必要なのは旧態依然とした将軍家では無い、海外の列強に対抗できる軍隊を備えた公議の政体、つまりは共和制政治形態であると、いち早く喝破していた。幕府の初の海軍・長崎伝習所は、勝の発案である海防意見書が契機で創設された。時代の先を見渡す眼力は、幕末期勝海舟以上に右に出る者はいないと私は考えている。坂本龍馬はそんな勝に惚れ込んで弟子入りし、様々な薫陶を受けて、結果薩長同盟に至り、船中八策に至り、大政奉還に結びついた。残念ながら勝はその後時代の激流に翻弄され数々の悲運に身を投じることとなる。

もし勝が幕臣でなかったら、幕府のしがらみが無かったなら、きっと勝自らが動いて明治維新へと導いていたかもしれない。そんな勝の決意とも言える信念に導かれて、西郷が動き、桂が動き、討幕、明治政府へと結実している。
西郷との江戸城無血開城の談判劇は勝海舟による一世一代の大芝居である。西郷もそれを見抜いていたことだろう。
ただ江戸の庶民の命を大切にし、日本を食い物にせんとする欧米列強に対して、日本人同士が争っている場合では無いと、世間を刮目させたのである。勝海舟と西郷隆盛という大人物が日本にいたからこそ、日本は欧米に侵略されること無く繁栄の道に進むことができた。残念ながら中国にはそういう先見の明に秀でた政治家が、存在はしていたが存分に活躍出来なかったため、欧米の餌食となった。この違いは大きい。

一方で、海舟座談などを読んでいると、勝はべらんめえ口調の生粋の江戸っ子で、彼の変人ぶりは、普通の人間なら近づこうとはしない異様なほどであったが、高次元の知識人は勝の思想に感化され、勝家にしょっちゅう出入りし弟子入りを志願していた。そんな客人を快く迎えていたが、貧しかった彼の家は出世するまでは建具を売るほどのあばら屋同然であったらしい。でも勝はそんな事を一切意に介すること無く客人をもてなし、清貧を地で行っていた。

自分の立場に拘泥せず、時代を冷静に分析し、未来を見通し、強い信念を持って唱え続けるリーダー像を、私は勝海舟の中に見るのである。そして自分がどんなに貧していても自分を頼り信じてくれる者には惜しみない待遇を行う。
そんなスケールの大きい勝海舟に私は更に惚れ込んだのである。
果たして現代の政治家に、勝海舟の足下に及ぶ方がどれだけ居るだろうか?

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